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「CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT” Professional Seminar Intensive Workshop」イベントレポート

12月15日から18日にかけて、音楽業界関係者を対象とした海外プロモーション戦略の集中ワークショップ「CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT” Professional Seminar Intensive Workshop」がトヨタ自動車東京本社で開催された。

「Intensive Workshop」は、これまで5回にわたって行われてきた公開セミナーシリーズ「Public Series」を締めくくる、より実践的な内容の集中ワークショップ。過去のセミナーで事前収録の映像を通じて講義を行ってきたバークリー音楽大学バレンシア校の教授陣が来日し、3日間にわたって受講者に直接指導を行った。

過去5回のシリーズすべてに参加し、教授陣と英語でコミュニケーションが取れることを条件に集められた約30名の受講者たちは、この3日間を通じて海外の音楽マーケットでアーティストをプロモーションするための実践的なノウハウや考え方をじっくりと学び、最終日には仮想プロジェクトのプレゼンテーションを実施。8チームに分かれ、それぞれ特定の実在アーティストを1組選定したうえで「当該アーティストをどの地域のどの層に、いかなる戦略でプロモーションしていくか」を具体的なプランとして練り上げる。それをプレゼン資料としてまとめ上げ、スクリーンに映し出しながら英語で発表を行った。

持ち時間は1チームにつき10分間。プロモーションするアーティストの紹介および想定するプレゼン相手(例えばフェスティバル運営者など)の提示に始まり、目標とするゴールとそこへ至る具体的な戦略が語られる。いずれのチームもライブ映像やミュージックビデオといったビジュアル資料なども駆使しながら、真に迫ったプロモーション案を展開した。大胆な提案をするチームもあれば実現可能性の高そうな現実的なプランを提示するチームもあり、中には序盤で聴衆の目を閉じさせたり、フランス語での導入挨拶で度肝を抜いたりとプレゼン手法に独特の工夫を盛り込むチームも。まるで実際のクライアントを相手に話しているかのような、リアルなプレゼンが次々に繰り広げられた。

各チームのプレゼンには教授陣からの講評が行われ、内容についてはおおむねどのチームも高い評価が下された。改善点についての助言も積極的になされ、「ロジックの流れを整理したほうがより自然に伝わる」「野心的なプランだがやや非現実的。一気にゴールへ飛ぶのではなく、段階を踏む道筋を示したほうが説得力が増す」「数字で示せるエビデンスに関しては口頭で述べるだけではなく、グラフなどの視覚データを用いて強調すべき」といった実践的な内容が連発。中にはほとんどマイナス要素がなく、「アメイジングなプレゼンテーションだ」と教授陣の舌を巻かせたチームもあった。

その一方で、内容というよりもプレゼンスキルについての指摘も目立った。「スマートフォン(原稿)を凝視しながら話すのは聞き手との間に溝を生む。なるべく相手と目を合わせながら自分の言葉で話すべき」という言葉がたびたび繰り返されたほか、会場のWi-Fiコンディションによって映像資料の再生がうまくいかない場面も多く見られ、「資料はすべてオフラインで閲覧できるよう、データをローカルに保存しておくなどの準備をすべき」との助言も。そうしたトラブルをとっさの機転とトーク力で乗り切ったチームも見られ、彼ら彼女らには教授陣から賞賛のコメントが相次いだ。

すべてのプレゼンテーションが終了したあとには、パーティ会場へ場所を移して受講者たちへの本プログラムの修了証授与式が執り行われた。式にはCEIPAの稲葉豊理事(日本音楽出版社協会会長)が駆けつけ、日本の音楽業界のグローバル化に対する展望や受講者たちへの期待を語って乾杯の挨拶へとつなげる。そしてほがらかなムードのままに稲葉氏とバークリー教授陣から受講者1人ひとりに修了証が手渡され、約半年に及んだ「Professional Seminar」に一旦の区切りがつけられた。