PerfumeとZAZEN BOYSが対バンした結果、満員の観客が「ポテトサラダ」でキュートにダンス
東京・豊洲PITで8月9日にライブイベント「70号室の住人 LIVE!!!! ~ チョコレイトポテトサラダ ~」が開催された。

人生の中で見たことないものを見てみたい
TOKYO MXで放送中の音楽トーク番組「70号室の住人」によるこのイベントには、ZAZEN BOYSとPerfumeの2組が出演。番組MCの遠山大輔(グランジ)が最も愛するアーティスト同士の顔合わせで、サブタイトルはそれぞれの楽曲「ポテトサラダ」と「チョコレイト・ディスコ」をかけ合わせたものだ。
「繰り返すこのポリリズム」で知られるPerfumeと、「くりかえされる諸行無常」でおなじみのZAZEN BOYS。“繰り返すこと”にゆかりがある同士、という共通点はあるものの、ジャンルも立ち位置も異なる両者の対バンは、発表直後から異色すぎる異種格闘技戦として大きな話題を呼んでいた。

開演前、PAブースに姿を見せた遠山は、ZAZEN BOYSとPerfumeとの初めての出会いを回想しつつ、それぞれの魅力を熱弁。「もういつ死ぬかわからないとは言いませんが、そんなことを考える年齢になって、自分の人生の中で見たことないものを見てみたいなという気持ちが芽生え、そこで自分のわがままかもしれないが、このイベントが決まったときに、2組が一緒に並んでいるところを皆さんのいる空間で共有できるのではないかと考えました」とオファーの経緯を説明した。
向井秀徳がガニ股で平行移動する謎のダンス
一番手はZAZEN BOYS。メンバーがステージにそろい、向井秀徳(Vo, G)が「アサヒスーパードライ」のプルタブを開けて「プシュッ」という音が響いただけで、満員の会場から割れんばかりの歓声が上がった。1曲目は「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」。ガッチリと噛み合った4人のグルーヴが、広い会場の空気を揺らす。

その後も「Weekend」「安眠棒」、そして7月末の東京・LIQUIDROOM単独公演でひさびさに披露された「SEKARASIKA」を続々と演奏。そのたびに向井は「バーカウンターは向こう側にございます。MATSURI STUDIOからやってまいりました、ZAZEN BOYSです」と何度もアナウンスする。照明の演出も最小限で、人力のみの演奏で勝負するそのスタイルは、このあとに登場するPerfumeのステージとは対象的に映る。

公演タイトルの一部にもなった「ポテトサラダ」では、笑顔を浮かべた向井が合掌しながらガニ股で左右に平行移動するという、謎のダンスを披露して笑いを誘った。後半は最新アルバム「らんど」の楽曲を中心に展開。「ブルーサンダー」を演奏する際には前口上として、歌詞に登場する「1983年、1988年、1996年」という年号に加えて「1945年8月9日」という日付を口にする。この日からちょうど80年前、長崎市に原子爆弾が投下された日だ。

「チャイコフスキーでよろしく」を演奏し終えると、向井は遠山と番組スタッフ、対バン相手のPerfume、そして会場を埋め尽くしたオーディエンスに感謝の言葉を述べた。そして「たぶん皆さん忘れてると思うんで……MATSURI STUDIOからやってまいりました、ZAZEN BOYSです」と、もはや何度目かわからない自己紹介をし、「乱土」「胸焼けうどんの作り方」を叩きつけてライブを締めくくる。最後にひと言「こげな感じでよかろうか?」と客席に問いかけ、向井はひょうひょうとステージをあとにした。
Perfumeと満員のオーディエンスが「ポテトサラダ」でダンス
「ポリゴンウェイヴ」でPerfumeのライブが幕を開けると、会場はさながら巨大なクラブのように雰囲気が一変。続けて「Magic of Love」に突入し、思わぬレア曲に会場が沸き立つ。さらに「巡ループ」「ネビュラロマンス」といった、9月発売のニューアルバム「ネビュラロマンス 後篇」に収録される新曲も披露。ZAZEN BOYSの肉感的でうねるようなグルーヴとはまた違う、スクエアでジャストな四つ打ちのリズムが、フロアの高揚感を引き上げていく。

ZAZEN BOYSのライブを観た3人は、「いいね、ああやって自分のバンド名を何回も言うの。あれ私たちもやっていきたい」と話し合い、「広島から来ました、広島出身のPerfumeです」と改めて自己紹介。この日の選曲のテーマについて、あ~ちゃんは「だいぶマニアックな曲もやってるんですけど、とーやま校長(TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」に出演していた際の遠山の名前)にあの曲も聴いてほしいな、この曲も好きって言ってたなと思いながら考えました」と明かし、その言葉の通り初期の人気曲「SEVENTH HEAVEN」もパフォーマンスされた。

会場の一体感を高めるために、リズムに合わせてみんなで踊って声を出す「『P.T.A.』のコーナー」では、あ~ちゃんが「リズムが少し変わってるけど、私たちと一緒に踊れば必ずうまくいくから」と声をかけながら、この日のために考えてきたオリジナルの振付を観客にレクチャー。会場中が一緒に踊れるようになったところで、流れてきた音楽はZAZEN BOYSの「ポテトサラダ」だった。向井秀徳による「ボールにいっぱいのポテトサラダが食いてえ!」というシャウトに合わせて、Perfumeの3人と満員のオーディエンスはキュートにダンス。「『P.T.A.』のコーナー」の長い歴史の中でも屈指のカオスな回となった。

ちなみにライブ後の公開収録トークパートで明かされた話によると、この様子はZAZEN BOYSのメンバーも観ていたそうで、向井秀徳と吉兼聡(G)も一緒に踊ろうと試みたものの、腰に甚大なダメージを負ってしまったという。
その勢いのまま「FAKE IT」へ突入し、腕を上げながらジャンプする観客でフロアは熱狂の渦に包まれる。そしてイベントタイトルにも使われている「チョコレイト・ディスコ」で、Perfumeのライブは華々しくフィナーレへ。フロアには、極上の“チョコレイトポテトサラダ”を心ゆくまで味わった観客の笑顔があふれていた。
公開収録では予測不能な異次元トーク

ライブ終演後、「70号室の住人」のセットが舞台上に設置され、ZAZEN BOYSの4人とPerfumeの3人を迎えての公開収録がスタート。向井を中心に、どこに着地するのか予測不能な異次元トークが繰り広げられた。

向井が「Perfumeはバンド」と評したその真意とは? ZAZEN BOYSの楽曲にまつわる、あ~ちゃんの甘酸っぱい青春の思い出とは? この収録の模様は9月3日放送の「70号室の住人」で明らかになるので、会場に来ることができなかったファンは放送を心待ちにしよう。

さらにイベントの最後には、12月31日に同会場でカウントダウンライブ「70号室の住人 カウントダウンLIVE!!!!」(仮)が行われることが発表された。遠山以外の出演者は後日発表。チケットぴあでは9月3日まで先行予約を受け付けている。
また、会場で販売されていたイベント公式グッズが、事後通販されることが決定。8月16日18:00に、TOKYO MXのオフィシャルショップ・9ちゃん屋で取り扱いを開始する。詳細は「70号室の住人」の番組オフィシャルサイトおよびXアカウントで確認しよう。
セットリスト
「70号室の住人 LIVE!!!! ~ チョコレイトポテトサラダ ~」2025年8月9日 東京・豊洲PIT
ZAZEN BOYS
01. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
02. Weekend
03. 安眠棒
04. SEKARASIKA
05. ポテトサラダ
06. ブルーサンダー
07. チャイコフスキーでよろしく
08. 乱土
09. 胸焼けうどんの作り方
Perfume
01. ポリゴンウェイヴ
02. Magic of Love
03. 巡ループ
04. ネビュラロマンス
05. SEAVENTH HEAVEN
06. FAKE IT
07. チョコレイト・ディスコ
提供元:音楽ナタリー