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原口沙輔とFurui Rihoによるスペシャル対談が実現、「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」×「ニコニコ超会議2026」イベントレポート

4月25、26日に千葉・幕張メッセ国際展示場 1~11ホールと幕張イベントホールで開催された大型複合イベント「ニコニコ超会議2026」において、国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」とのコラボレーションが行われた。ボーカロイド音楽に特化した「超ボカニコ2026 Supported by タイミー」ステージにて、25日の全アクト終了後に同ステージ出演者の原口沙輔とゲストのFurui Rihoによるスペシャル対談が実施され、MAJの「最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞」に関する話題を軸に、さまざまなテーマで熱いトークが繰り広げられた。

両者ともに「MAJ」とは縁深い人物で、原口は昨年の「MAJ 2025」において自身の楽曲「イガク」が「最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞」にノミネート。一方のFuruiは、今年の「最優秀R&B / コンテンポラリー楽曲賞」「最優秀アニメ楽曲賞」に2曲がエントリーされた。

左から原口沙輔、Furui Riho。

Furui Rihoが「ニコニコ超会議」場内を視察

対談ステージに臨む前に、Furuiは「ニコニコ超会議」会場内の視察を行った。本イベント初参加となる彼女はその独特のムードに目を輝かせ、まずボーカロイド作品の即売会「THE VOC@LOiD 超 M@STER 62」を、続いてボーカロイド楽曲のイラストを手がける“絵師”たちの作品展示「超絵師展 ~IFの楽曲世界展~」を巡回。そのクリエイティブ熱の高さに圧倒されつつも、彼女はさらにホール内を練り歩き、「超踊ってみた」ステージや「超歌ってみた」ステージの様子なども遠巻きに眺めながら、自由に表現活動を行う参加者たちにシンパシーとリスペクトの入り交じった熱視線を送り続ける。時折ホール内の通路を“超乗合馬車”と称する乗車自由の人力馬車が通りすぎると、山車部分にひしめくコスプレイヤーたちの楽しげな姿に目を奪われていた。

「ニコニコ超会議」の会場内を巡るFurui Riho。

ひと通り視察を終えたFuruiは、特に「超絵師展」が印象に残った様子。人気ボーカロイド楽曲を題材に、「もしこの楽曲の世界を自分が解釈したら」というテーマで複数人のプロ絵師がイラスト競作を行う人気企画だ。与えられた1つのテーマに対して各自の解釈で世界観を広げていくさまが、音楽現場におけるコライトを想起させたのだという。これまであまり深くは触れてこなかったというボーカロイド文化に接することで、彼女は新鮮かつ多大な刺激を受けたようだ。

その後Furuiは、「超ボカニコ」ステージでトリ前を担った原口のDJパフォーマンスを客席から観覧。大勢の観客で埋まったアリーナとスタンドから星空のように発せられるペンライト光にうっとりしながら、時に陽気に、時にアグレッシブにフロアを熱狂させた原口の約35分セットをじっくりと堪能した。

「超絵師展」を訪れたFurui Riho。
「超絵師展」を訪れたFurui Riho。

MAJはクリエイターのモチベーションになる

ステージアクトのトリを務めた八王子Pがフロアを狂乱の渦に陥れたのち、スペシャル対談ステージの司会進行を務める星野卓也が壇上へ。集まったオーディエンスに対してMAJおよび「最優秀ボーカロイドカルチャー音楽賞」についての概略が伝えられたほか、同賞の選考プロセスに一般投票が組み込まれることも強調された。その一般投票は、ドワンゴが運営する投票サイトmaj-vocaloid.comにて受付中。5月20日までの間、毎日1回の投票が可能となっている。

そして原口とFuruiの2人がステージ上へ呼び込まれ、喝采をもって迎え入れられた。改めて「超会議」の印象を問われたFuruiは、「皆さん全力で楽しんでいますよね。自分を表現し、何かを作り出している人がこれほど多く集まっていることにすごく感動しました。こういう場所があるって、いいな」と顔をほころばせながら述懐。直前にDJステージを終えたばかりの原口は、「今年の空気感や自分の気分、前後の出演者とのバランスを考慮しつつ、観客といかに一体化して盛り上がれるかを考えてました」と選曲、構成について振り返った。

日本において国際的な音楽賞MAJが始動したことについては、「クリエイターのモチベーションになる」との見方を示したFurui。「いつか自分もこの賞を目指したいというアーティストが、これからさらに増えていくはず」と期待を寄せた。一方の原口は、「まだ2回目ということもあり、賞の基準や存在自体を詳しく知らない人も多いのでは」と冷静に分析。より多くの人が興味を持ち、賞自体が盛り上がっていくことの重要性を説いた。

左から原口沙輔、Furui Riho。
原口沙輔とFurui Rihoによる対談の様子。

互いの楽曲に関して質問をぶつけ合う

対談の中盤からは、事前に用意した互いへの質問をぶつけ合うQ&Aセッションが計4問行われた。1問目は原口からFuruiに対し、「活動の中で一貫して伝えていきたいことはありますか? ある場合、どういったものでしょうか(今の気分ベースでも問題ございません)」というもの。これに対しFuruiは、「大切にしているのは、愛かな」と即答する。「日々生きる中で疲れや孤独を感じたときに、結局人間って愛が欲しいんじゃないかな」と述べ、自身の音楽が「心に温かいもの」を思い出させるものとなることを目指していると語った。この解答に納得の表情を浮かべた原口は、自身の創作においては「生活そのものを描くこと」を意識しているのだそう。

2問目は、Furuiから原口への「耳に残る曲(メロディラインや歌詞)を作るのがとてもお上手に感じています。一発聞いただけでクセになる。そんな曲を作るコツは?」という、具体的な作曲メソッドに関する質問。原口は最初の着想段階からメロディの打ち込み段階、アレンジ段階、最終段階に至るまで何度もメロディを書き直し、完成ギリギリまで試行錯誤を繰り返しているのだという。しかし、「ヒットする曲は得てしてパッと思いついたものが多い」と漏らすと、Furuiもこれに激しく同調する。彼女の代表曲「Hello」も、部屋を片付けている最中にメロディのみならずアレンジの細部に至るまで丸ごと“降りてきた”のだと明かした。

原口沙輔
Furui Riho

続く「より多くの方にご自身の音楽を届けるために、意識されていることはありますか」との原口の問いに対しては、「時期によって考え方は異なる」としながらも「人に好かれようとして作るよりも、自分が心の底から『カッコいい! 楽しい!』と思って作った曲のほうが結果的に聴き手に刺さる」と現時点での結論を述べたFurui。これに大きくうなずいた原口は、「手を抜くという意味ではなく、無理をしないことが大切」だと力説し、クリエイターとは「いつアイデアが降りてきてもいいように、日々『いつでも来い』という状態にしておく仕事」であるとの見解を示した。

最後の質問は、Furuiからの「原口さんの曲は、いい意味で“トゲ”があると思います。難解すぎない“違和感”が楽曲を面白くさせている気がするのですが、そのトゲは意図的に出しているのでしょうか? 作るときに考えていることはなんですか?」という、やや核心に迫るもの。原口はこれに「トゲを意図的に出してはいない」と答え、「もともと自分の趣味趣向が人と違うというか、もともとトゲがある。そのままだとわかりづらくなるので、ちょっと丸くしたい思いで作っています」と告げた。これには思わず「なるほど!」と笑みをこぼすFurui。トゲを仕込むのではなく、逆に丸くする意識で「イガク」などの楽曲が生まれたという意外な事実に、彼女は感心しきりの様子だった。

約20分の対談はあっという間に終わりを迎え、原口は「音楽から伝わってくるとおり、Furuiさんは真剣に音楽と向き合っていらっしゃる方だなと思いました。聞きたいお話が聞けて、いい時間になりました」と総括。そんな原口をかねてから「天才だなーと思っていた」というFuruiも、「まさかここに来させていただいて、原口さんとお話しできる機会があるなんて、数年前の私はまったく考えていなかった奇跡的なこと。幸せな気分になって帰りたいと思います」と述べ、「共感できてうれしかったです!」と満面の笑みを浮かべた。

左から原口沙輔、Furui Riho。