多種多様なアニソンアーティストが集結した熱狂の一夜、MAJ開催ウィーク「リスアニ!LIVE on TOKYO ANIME MUSIC HIGHLIGHTS」全アクトレポート
国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」の開催に伴い、6月13日の授賞式までの9日間にさまざまなイベントが実施された「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK」。この一環として、6月9日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOにてアニメ音楽の祭典「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE リスアニ!LIVE on TOKYO ANIME MUSIC HIGHLIGHTS」が行われた。
日本独自の音楽文化として世界中で愛されているアニメソング=アニソン。その多面的な魅力を凝縮して体験することができる“アニソンフェス”という興行形態も、世界的に見ても希有な独特のジャパニーズカルチャーとして定着している。そんなアニソンフェスの代表格である「リスアニ!LIVE」とMAJがタッグを組んで行ったのが本公演だ。
アニソンフェスには本人名義でパフォーマンスするアーティストや声優のみならず、声優が担当キャラクターに扮してステージに立つ形式など、さまざまなスタイルの演者が登場するのが通例だ。本公演も例外ではなく、トップバッターを務めたGuilty Kiss、3番手のコメティック、4番手のSaint Snowの3組はアイドル系IPコンテンツの劇中グループ。さらに6番手で登場したMyGO!!!!!は「BanG Dream!」シリーズの劇中バンドだ。2番手を務めたTrySailは声優ユニット、5番手のTeddyLoidはDJ / サウンドプロデューサー、大トリを担当したオーイシマサヨシはシンガー / アニソンクリエイターと、多種多様な活動形態を持つアーティストが集結した。
また、すべてのアクトがカラオケではなく生バンド演奏で届けられるのも「リスアニ!LIVE」の特徴の1つ。この日も黒須克彦(B)がバンドマスターを務めるハウスバンドが、バンドアクトおよびDJアクトを除く全出演者のパフォーマンスを確かな演奏で強力にバックアップ。アニソンフェスという場でしか体験できない、現実と虚構が交差するめくるめくエンタメ空間が繰り広げられた。
ラブライブ!サンシャイン!!【Guilty Kiss】
TeddyLoidの手がけた楽曲が流れるオープニング映像に続いてオーディエンス全員による盛大なカウントダウンが発生し、会場のボルテージは否応なく上昇。暗闇のステージに照射されたスポットライトが2つの人影を浮かび上がらせると、場内は轟音のような歓声に包まれた。そして「Ready?」の掛け声を契機に深く歪んだエレクトリックギターがメタリックなリフを轟かせ、スラッシュメタル歌謡ナンバー「Strawberry Trapper」がイベントの幕開けを高らかに告げた。
トップバッターの大役を担ったのは、スクールアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」の劇中グループ・Aqoursの派生ユニットであるGuilty Kiss。逢田梨香子(桜内梨子役)、小林愛香(津島善子役)、鈴木愛奈(小原鞠莉役)からなる3人組で、この日は逢田、小林の2人体制での出演となった。黒に深い赤を差したゴシックなコスチュームで歌い踊る2人に対し、ペンライトの海と化した客席からは大音量のコールや合いの手がひっきりなしに飛ぶ。2人はさらに「Guilty Night, Guilty Kiss!」「New Romantic Sailors」とアッパーチューンを問答無用で畳みかけて会場の熱気を跳ね上げるだけ跳ね上げると、「このあとも楽しんでいってねー!」と嵐のようにステージをあとにした。
TrySail
Guilty Kissの余韻を噛みしめる間もなく、すかさず場内に静謐なピアノの独奏が響きわたる。そこへ「きっと果てなく 遠い距離も」と透き通ったキャンディボイスが重なると、次なる出演者が「はなれない距離」(テレビアニメ「阿波連さんははかれない」オープニングテーマ)を歌うTrySailであることをそのひと声で早くも把握した客席から、歓迎を意味する絶叫のような大声援が届けられた。
TrySailは、麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜からなる3人組女性声優ユニット。メンバーそれぞれが声優およびソロシンガーとして活躍する一方で、ユニットとしても10年を超えるキャリアを誇る。そんなTrySailならではのハイクオリティなパフォーマンスと、百戦錬磨のフレンドリーなトークが来場者を大いに楽しませた。ペールピンクのドレッシーな衣装で登場した彼女たちは、3人ともが声優としてメインキャラクターを務めるスマートフォンゲーム「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」の楽曲「うつろい」や、「High Free Spirits」(テレビアニメ「ハイスクール・フリート」オープニングテーマ)、「adrenaline!!!」(テレビアニメ「エロマンガ先生」エンディングテーマ)と、曲目ごとに大きくカラーの異なるセットリストでライブを展開。楽曲によってがらりと表情を変える声優音楽の醍醐味を、限られた出演時間の中で観客に存分に味わせてみせた。
アイドルマスター シャイニーカラーズ【コメティック】
アイドルプロデュースゲームコンテンツ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」からは、川口莉奈(斑鳩ルカ役)、三川華月(鈴木羽那役)、小澤麗那(郁田はるき役)による3人組ユニット・コメティックが登場。ダークパープルを基調としたゴシックなミニスカート姿でステージに上がった彼女たちは過去の同イベントへの出演経験に触れつつ、「アイドルマスター シャイニーカラーズ」から単独で参加できた“独り立ち”を喜ぶコメントを初々しく放ちながらも、オーディエンスとの振り合わせを楽しむなどリラックスムードの朗らかなステージを展開した。
楽曲パフォーマンスにおいても、「アイノウ」「泥濘鳴鳴」「ハナムケのハナタバ」など、テイストはさまざまながらコール&レスポンスやシンガロングがふんだんに織り交ぜられたナンバーを連発し、アリーナを一体感で満たしていくコメティック。1曲ごとにイントロのワンフレーズや曲紹介だけで客席の至るところからどよめきと歓声が地鳴りのように沸き起こり、ユニットの支持率の高さを端的に示した。そんな彼女たちは、性急なダブルビートが牽引するパンキッシュなナンバー「無自覚アプリオリ」をラストナンバーにチョイス。ラップライクなフロウや伸びやかなロングトーンなど、スキルフルな歌唱表現で大いにフロアを沸かせた。
ラブライブ!サンシャイン!!【Saint Snow】
続いてステージに上がったのは、Guilty Kissと同じく「ラブライブ!サンシャイン!!」の劇中ユニットであるSaint Snow。田野アサミ(鹿角聖良役)と佐藤日向(鹿角理亞役)からなる2人組で、作中ではAqoursのライバル的存在の姉妹ユニットとして描かれている。2人の息の合ったコンビネーションダンスが目を引くミクスチャーロックテイストの「SELF CONTROL!!」(テレビアニメ「ラブライブ!サンシャシン!!」第8話挿入歌)で幕を開けた彼女たちのステージは、ダブルビートの6/8拍子というアニソン / J-POPシーンでは比較的珍しいビート感のメタル歌謡ナンバー「DROPOUT!?」(テレビアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」2期第8話挿入歌)へと連なり、特有のヘビーな音世界にオーディエンスをいざなった。
それぞれ白とピンクに色分けした双子コーデに身を包んだ2人は、曲間にMCを一切挟まないストイックなステージングで聴衆を圧倒し続け、仕上げにスリリングなEDMポップチューン「Dazzling White Town」を投下。4アクト目にしてこの日初めてとなる明確な四つ打ちビート楽曲が、満員の客席を激しく波打たせる。ブリッジパートでは光り輝くライトセーバーを用いたパフォーマンスも飛び出すなど、フューチャリスティックなステージングがオーディエンスの自然を釘付けにした。
TeddyLoid(Special DJ SET)
そんな「Dazzling White Town」のダンスビートを受け継ぐかのようなEDM調の転換BGMを挟み、ステージ中央に設置されたDJブースから重低音の四つ打ちビートをお見舞いして会場を一瞬にして広大なクラブ空間へと変貌させたのは、主にサウンドプロデューサーとして活躍するアーティスト・TeddyLoidだ。Ado「唱」をベースにした登場SEから「Fly Away」(テレビアニメ「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」挿入歌)のリミックスバージョンにつないで口火を切ると、以降もGiga & TeddyLoid meets 松田里奈 & 森田ひかる (櫻坂46)の楽曲「ピッカーン!」(テレビアニメ「ポケットモンスター」エンディングテーマ)など、自身の手がけたアニメ音楽を中心にアグレッシブかつエネルギッシュなDJミックスを披露した。
TeddyLoidは時折マイクを手にして煽ったり、自身のシンボルロゴを表す三角形のハンドサインをオーディエンスに掲げさせたりと、みるみるうちに会場全体に熱狂のダンスフロアを形成していく。締めにはAdo「踊(TeddyLoid Remix)」を繰り出して最高潮のフィーバー状態を創出し、約15分間という短時間にDJパフォーマンスの粋をギュッと凝縮させた濃厚なステージをド派手に締めくくった。
MyGO!!!!!
不意に会場を包んだ太く甘い音色のギターのアルペジオが大歓声を呼び込み、オープンハイハットのカウントインから混然としたバンドサウンドがオーディエンスの耳と心を貫き始めると、間髪をいれずに透明感のあるシルキーなベルベットボイスが「交差点の真ん中 急ぐ人に紛れて」と響かせる。この日唯一のバンドアクトとなるMyGO!!!!!が「迷星叫」でライブをスタートさせた瞬間、観衆は待ってましたとばかりにマックスパワーの「オイ! オイ!」コールで彼女たちのグルーヴを後押した。
MyGO!!!!!は次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」から生まれ、キャスト自身が楽器の実演を行うリアルバンドとして活動する5人組バンド。そのメンバーである羊宮妃那(Vo. / 高松燈役)、立石凛(Gt. / 千早愛音役)、青木陽菜(Gt. / 要楽奈役)、小日向美香(Ba / 長崎そよ役)、林鼓子(Dr. / 椎名立希役)の5人は、過度な装飾を排したストイックなバンドサウンドでイベントの空気感を一変させた。「壱雫空」(テレビアニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」オープニングテーマ)を演奏して会場のボルテージを一段と引き上げると、小日向のゴリっとしたベースリフが印象的な「影色舞」や、立石と青木のツインリードが炸裂する「聿日箋秋」などで生演奏のバンド音楽でしか得られない喜びを十二分に表現。切実なポエトリーを中心に構成されたラストナンバー「往欄印」でステージを締めくくるまで、怒濤の勢いで熱狂のパフォーマンスを繰り広げてリスナーたちに我を忘れさせ続けた。
オーイシマサヨシ
MyGO!!!!!の5人が客席に笑顔で手を振りながらステージから去ると、いつの間にか定位置に戻っていたハウスバンドが入れ替わりで軽快なシャッフルビートのインストゥルメンタルナンバーを奏で始める。これに手拍子で応える観客の前に満を持して現れたファイナルアクトは、“アニソン界のおしゃべりクソメガネ”を自称するアニソンシンガーとしても、アニソンクリエイター・大石昌良としても多数の代表曲を持つアニソン界の重鎮・オーイシマサヨシだ。流れるようなメドレーアレンジで「インパーフェクト」(テレビアニメ「SSSS.DYNAZENON」オープニング主題歌)を繰り出し、テクニカルかつヒロイックなメロディラインと堂々たる朗々としたハイトーンボイスで瞬時に場の空気を支配してみせた。
すっかりヒートアップした客席から、オーイシのライブではすっかり恒例となっている「帰れー!」などの大声援が景気よく届けられ、「さっそくの罵詈雑言ありがとうございます(笑)」と苦笑を浮かべるオーイシ。彼は会場の大きさを感じさせないフレンドリーなトークで和ませながら、「ニンゲン」(テレビアニメ「人外教室の人間嫌い教師」オープニングテーマ)、「君は恋人」(テレビアニメ「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2」オープニングテーマ)といった比較的新しい楽曲から、「uni-verse -Band ver.-」(劇場版「グリッドマン ユニバース」主題歌)のような定番曲までを惜しみなく披露していった。
ステージにアコースティックギターが持ち込まれると、おもむろにこれを抱えたオーイシは自身のシグネチャープレイとも言える高速スラップを繰り出して喝采を呼び込む。そして改まった様子で「今日1日を通して思いました。マジでアニソンって最高やなって」と心からの言葉を漏らした彼は、続けて「MUSIC AWARDS JAPAN」にノミネートされることで、来年こそアニソンシンガーによるアニソンを日本中、そして世界中へと届けていきたいと高らかに宣言。「そんな気持ちを込めまして……アニソンじゃなきゃダメみたーい!」と絶叫すると、オーイシマサヨシとしての出世作にして代表曲「君じゃなきゃダメみたい」(テレビアニメ「月刊少女野崎くん」オープニングテーマ)で会場を沸騰させ、アニソンの祭典を大団円に導いた。
取材・文 / ナカニシキュウ