小袋成彬「雑踏の中で自分の音を奏でて」、深夜のLIQUIDROOMで届けたソウルとメッセージ
小袋成彬のライブツアー「Nariaki Obukuro Japan Tour 2025 "Zatto"」が、4月11日深夜に東京・LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。

Melodies Internationalが彩ったツアーファイナルの幕開け

「Nariaki Obukuro Japan Tour 2025 "Zatto"」は、小袋が1月に発表した最新アルバム「Zatto」のリリースツアー。「Zatto」は2019年から今年1月までロンドンを活動拠点にしていた彼が現地ミュージシャンたちとのセッションを経て完成させた1枚で、ジャズやソウルを軸にレゲエ、ラテンなど多様な要素を取り入れた本作の収録曲がライブでどのように再現されるのか音楽ファンの注目を浴びていた。またオールナイト形式で行われたツアーファイナルにはDJアクトとして、ロンドンのリイシューレーベル・Melodies InternationalからTheo TerevとSeiji Onoが出演。彼らがプレイする多彩な楽曲を浴びたオーディエンスは思い思いに体を揺らし、LIQUIDROOMはオープン直後から自由なダンスフロアと化していた。
「Zatto」で示した現在地

深夜1時半、小袋がバンドメンバーに佐瀬悠輔(Tp)、MELRAW(Sax)、片倉真由子(Piano)、KOBY SHY(B)、磯貝一樹(G)、守真人(Dr)を従えてステージに現れると、フロアからは悲鳴にも似た歓声が上がる。小袋は腕利きのミュージシャンたちとのセッションでのっけから観客を酔わせ、芳醇な音の世界へと誘うように「Tangerine」「Kamifubuki」をパフォーマンス。そのまま情熱的なラテンビートの「Kagero」を艶やかな歌声で届けたかと思うと、酩酊感漂うレゲエナンバー「Hanazakari」をじっくりと奏でて場内をサイケデリアで満たすなど、最新アルバムの楽曲を次々とプレイして表現者としての現在地を提示してみせた。

小袋はルーツにあるダニー・ハサウェイの楽曲「Someday We'll All Be Free」のカバー、自身の人生や仕事に対する価値観をハードボイルドにラップする「Work」を続けて披露。ジャジーなアレンジでよりロマンチックに深化した「Butter」がパフォーマンスされると、高揚した観客たちの大合唱が巻き起こった。またスローブルース「Shiranami」の中で泥臭く歌い上げられる「旗を燃やして人の夢を照らす」というフレーズは、ダイナミックな演奏と相まって彼の表現活動におけるステートメントのようにも感じられた。
「一生歌い続けるので安心してください」

最新アルバムの表題曲「Zatto」の演奏が始まるとライブもいよいよ終盤へ。小袋は曲中にメンバー紹介を挟みつつ、オーディエンスに向けて「この世は雑踏、いろんなやつがいろんなことを言うんだよ。でも自分を信じて突き進んでください。自分を愛さずに誰を愛するの? やりたいことをやって死んでください。雑踏の中で自分の音を奏でて最後まで楽しんでいきましょう、この人生を」と語りかけた。そして彼は「俺は一生歌い続けるので安心してください。またどこかで会いましょう」とファンとの再会を約束し、最後は「Sayonara」を情感を込めて歌い上げて、充実した表情でステージを去っていった。

小袋のオンラインショップでは「Zatto」のアナログ盤とセルフライナーノーツに加えて、Tシャツや手ぬぐいなどのツアーグッズを販売中。
セットリスト
「Nariaki Obukuro Japan Tour 2025 "Zatto"」最終公演 4月11日 LIQUIDROOM
01. Intro(Free Session)
02. Tangerine
03. Kamifubuki
04. Kagero
05. Hanazakari
06. Someday We'll All Be Free(オリジナル:ダニー・ハサウェイ)
07. Work
08. Butter
09. Shigure
10. Formula
11. Shiranami
12. Zatto
13. Sayonara
提供元:音楽ナタリー