Perfumeが過去の東京ドーム公演を再構築 笑顔で再会を約束し、しばしの“コールドスリープ”へ
Perfumeが9月22日と23日に東京・東京ドームで単独公演「Perfume ZO/Z5 Anniversary “ネビュラロマンス” Episode TOKYO DOME」を開催した。この記事では2日目となった23日公演の模様をレポートする。

彼女たちがこのステージに立つのは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2日目公演が開場直前に中止となった、2020年2月のドームツアー以来5年ぶり。この5年前のライブ中止はメンバーにとってもファンにとっても忘れられない出来事となっており、今回のライブは雪辱を果たす舞台として注目されていた。そしてさらに公演直前、メジャーデビュー20周年記念日である9月21日に、Perfumeは年内をもって活動をひと区切りし、2026年から“コールドスリープ”に入ることを発表。この公演は“コールドスリープ”前最後のライブとして特別な意味を持つ一夜となった。
あの日止まった時計が、また動き始めた
公演名にある「ネビュラロマンス」は、架空のSF映画のサウンドトラックとして構想された2部作のアルバムのこと。昨年末から今年4月にかけて行われたアリーナツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1」はアルバム「ネビュラロマンス 前篇」の曲を収録順に披露し、そのストーリーを忠実に再現するコンセプチュアルな内容だった。今回の東京ドーム公演は、最新アルバム「ネビュラロマンス 後篇」のライブと位置付けられていることがあらかじめアナウンスされていたことから、多くの観客が前篇の続きとなるライブを予想していたが、ライブは意表を突かれる形で幕を開けた。
開演後に流れたのは「もう一度、あの日から始めよう」というPerfumeの3人の声。すぐに会場内に硬い足音が響き、メインステージを覆っていた布が振り落とされると、高所に3人が姿を現した。息を整えたあとで、3人は着ていたマントを一斉に投げ捨てる。そして始まったのは「GAME」。ライトセーバーを振り回して踊る3人の姿に、怒号のような歓声がドームに轟く。
この一連の演出は、2008年に開催された初のツアーのオープニングのセルフオマージュとして、2020年の東京ドーム公演のオープニングで行われたのとまったく同じものだった。メインステージの形状も、VJ映像もあの日と同じ。つらい記憶として刻まれた5年前のリベンジを果たすべく、Perfumeは自らの手で、“あの日止まった時計”をまた動かしたのだ。
そして2020年のライブの当時の最新シングルだった「再生」へ。オープニングで感傷に浸るオーディエンスに向けて、あ~ちゃんが「今日という日を楽しみましょう!」と呼びかける。なお今回のライブは、会場の構成も2010年に行われた初の東京ドーム公演を思い出させる形状となっていた。メインステージから伸びた花道は、小さなセンターステージからさらに3方向に分かれて伸び、アリーナが十字に分断されている。
「ネビュラロマンス 後篇」の壮大な物語が開幕
アルバム再現ライブだった「前篇」とはまったく趣きの異なる、意表を突いた幕開けだったが、ここから壮大な物語がスタートする。「Cipher」を厳かに歌い、スモークが焚かれたステージを1歩1歩踏みしめるように歩みながらメインステージに降りた3人。「ネビュラロマンス」の物語が再び始まることを告げるように「再起動世界」をパフォーマンスすると、ライブ初披露の新曲にもかかわらず、客席ではハンドクラップが湧き起こる。そして曲が終わる瞬間、まるで映画のオープニングのように「ネビュラロマンス 後篇」のロゴが大きく映し出された。

「ネビュラロマンス」の物語は、キキモという女性の手記によって進行する。かつて地球を離れた旧人類の末裔はロボットアーミーとなり、宇宙要塞となった月を襲撃。月を脱出して地球に到着した幼い3人の少女たち、アヤカ、ユカ、アヤノをキキモが保護し、記憶を失った彼女たちを新人類として育てた。子供の頃から歌って踊ることが好きだった3人は、地球防衛軍NEBULAに所属する傍ら、Perfumeとして音楽活動をすることに。そんな彼女たちがNEBULAの任務で初のドローン討伐に向かう、というところまでが前篇のストーリーだ。そしてキキモは、ここまで明かされていなかった事実を観客に伝える。この世界の新人類は地球の現支配者であるカキモトによって作られた機械人間であり、アヤカ、ユカ、アヤノこそが、かつて地球を追われた旧人類と同じ“真の人間”なのだと。
「そんなすぐに受け止めんでもいいよ」
前篇ツアーでは一切MCをはさまずにライブが進行していたが、劇中の歌番組「Mr. MIC SHOW」で「ネビュラロマンス」を披露したあとで、3人は「ユカです!」「アヤカです!」「アヤノです!」と役名で挨拶。いつものPerfumeと変わらないMCながら、2つのパラレルワールドが混じり合ったようなどこか不思議な感覚を覚えさせる。

このMCであ~ちゃんは、2日前に発表したコールドスリープについて「時代も変化していくし、年齢もレベルアップしていくし、永遠なんてないのかもしれない。反面、一生Perfumeでいたいという思いが強くなっていきました。そんな夢を実現するためにコールドスリープすることを選びました」と、前向きな決断であることを改めて説明。これについて、かしゆかは「きっとそれぞれのいろんな思いがあると思う。突然すぎてまだ受け止められないっていう人もいるかもしれないけど、そんなすぐに受け止めんでもいいよ。ゆっくり自分の中でほどいてくれたらうれしいです。悲しい話じゃないから。パワーアップしてカムバックするので」とファンに優しく寄り添った。
一方、のっちは「東京ドームは5年ぶりになりますね。前回は2020年2月だったんですけど、2DAYSのうち1日目しかできなくて。そのときから私たちもみんなも、いろんな思いで過ごしてきたと思います」と5年前に思いを馳せる。そして「だからまたこうして東京ドームに立てることができて本当にうれしいです。2日目が開演できてよかった。これが普通じゃないということを私たちは経験しています」と、このステージに立てる喜びを噛み締めていた。
巨大ドーム空間をフルに使った過去最大級の「FUSION」
この日のライブは前篇のツアーとは違い、ストーリーパートでも後篇に収録されていない曲がたびたび織り交ぜられていた。MC明けの「エレクトロ・ワールド」では、ヘビーなトラックをかき消すほどの地鳴りのような「ヘイ!」コールが客席から響き渡る。このとき劇中では、新人類のとある視聴者が「Mr. MIC SHOW」で歌うPerfumeを観ているシーンに。テレビには「エレクトロ・ワールド」だけでなく、同じく近未来三部作と呼ばれる「リニアモーターガール」「コンピューターシティ」を歌うPerfumeの姿が映っている。しかしその映像には、ネビュラロマンス世界の3人のパフォーマンスに混じって、現実世界で作られた各楽曲のミュージックビデオがインサートされていた。それを観た視聴者は、別の並行宇宙にも存在するPerfumeが歌って踊っているのではないかと疑い始める。
物語が新たな謎を提示する中、ライブは「ソーラ・ウィンド」へ。客席の床からいくつものレーザーが天井へと放たれ、会場中に壮大な光の柱を出現させる。「Virtual Fantasy」ではポリゴンで描かれた高層ビル群のような映像を背景に、3人はピンクのキックボードに乗って、夜の都会を散歩するように軽やかに花道を疾走する。

そしてグリッチノイズのような冷たく攻撃的なビートが鳴り響き、場面はパラレルワールド、すなわち“現実世界”で生きるPerfumeへとスイッチする。彼女たちがここで披露したのは、2018年の「Reframe」以降さまざまな場所で披露され、2019年にはNHK「紅白歌合戦」でも実施された、バーチャルシャドウを演出に使用した「FUSION」のパフォーマンス。今回は東京ドームの巨大な空間をフルに使った過去最大級のスケールで行われ、ダンスする3人の影が、高さ50m以上もあるドームの天井まで伸びていく光景に、観客は息をのんだ。

15年前のリベンジを果たした「Perfumeの掟」
キキモの語りによって、物語はさらに核心へと迫っていく。劇中の3人は、前篇のラストで敵であるはずのロボットアーミーの青年と遭遇したのち、彼女たち自身がロボットアーミーと同じ旧人類、つまり“真の人間”である可能性を聞かされたのだという。そんなキキモの言葉に続いて、アリーナ席を囲むように16体のロボットアーミーたちが出現。真っ赤な照明が熾烈な戦いを想起させる中、ロボットアーミーたちは監視するように手元のライトを客席に向け、観ている側も他人事ではないと言わんばかりに、会場全体を物語の渦へと巻き込んでいった。
ロボットアーミーたちがメインステージに向かって敬礼すると、その先にはPerfumeの姿が。ここで始まったのはなんと、2010年の東京ドームで披露された「Perfumeの掟」の再現だった。会場のあちこちから湧き上がる、当時を知るファンの驚きの声。3人がダンスをすると、スクリーンでは2010年の衣装と現在の衣装が目まぐるしく入れ替わり、メンバーそれぞれの15年前の姿と正確に重なる。
「Perfumeの掟」のかしゆかのソロパートは、背後に映る9人の自分の分身とともにダンスする「10人のかしゆか」。2010年当時は満足のいくパフォーマンスができずに不甲斐なさと悔しさを口にしていた彼女だが、この日は寸分の狂いもなくシンクロする完璧なパフォーマンスを見せつけ、15年前のリベンジを果たした。あ~ちゃんはビームライフルで、花道の先端で白いドレスを着たマネキンが持っている風船を狙撃。この直前にスクリーンにはネビュラロマンス世界の自分が銃撃戦をしている姿が映り、2つの世界の出来事がリンクする。

のっちはカウントアップの声に合わせて歴代シングルの振付のポーズを披露。2020年の東京ドーム公演では「1」の「リニアモーターガール」から「11」の「VOICE」までの11曲のポーズを決めたが、今回はその続き、「12」の「Spending all my time」から「25」の「Moon」までのポーズで、Perfumeの歩みを体現してみせた。
「私が鍛え上げた娘たちだ。これからも、ずっと大丈夫」
ここから「Flow」「Teenage Dreams」と、儚さを帯びたバラードが続く。「Flow」ではその言葉をメッセージとして観客の心にしっかり届けるように、曲に合わせてスクリーンに大きく歌詞が映し出された。「Teenage Dreams」では、3人が花道の先端で椅子に座りながら歌唱。「帰ろう 帰ろう あの頃に」という優しい歌にオーディエンスが感傷に浸っていると、美しいアウトロに重なるように、実はカキモトは3人の父親であるという、キキモの告白が流れた。その衝撃を打ち消す間もなく、ライブは「Human Factory -電造人間-」へ。不穏なサウンドと奇妙なVJ映像がシリアスな雰囲気を煽る一方で、「私たちは飼い猫」という歌詞の通りの、猫の手つきを模した振付が観客の目を釘付けにする。
そして物語の舞台は3年後に移る。3人とキキモによるカキモトの破壊により、機械人間たちは消失するはずだったが、事実は違った。カキモトは機械人間を作る際に人間を核として取り込んでいたため、核が開放されたことで彼らは元の人間に戻ったのだ。代わりに消失したのはアヤカ、ユカ、アヤノの3人。キキモは悲しみに暮れるが、彼女たちが完全に失われたわけでなく、どこかに存在しているのではないかと疑問を持つ。そしてキキモは3人の捜索を決意するのだった。

大きな月を背にした幻想的な「Moon」を歌い終え、物語は遂にクライマックスへ。続いて「exit」が始まると、その間奏でキキモの最後のメッセージが流れた。彼女はアヤカ、ユカ、アヤノが並行宇宙に転生している痕跡を発見。そして奇跡的にも、3人とも同じ時間、同じ場所に転生し、変わらず一緒に歌って踊っているのだという。ここでキキモが語った「私が鍛え上げた娘たちだ。これからも、ずっと大丈夫」という言葉は、これまでPerfumeの振付とライブ演出を手がけてきたMIKIKOから贈られた、これからコールドスリープに入る現実のPerfumeへのエールにも聞こえる。
そしてスクリーンにスタッフロールが流れ、「exit」は終了。その瞬間、転生後のアヤカ、ユカ、アヤノと思われる制服姿の3人の女子が学校の屋上で踊っている姿が一瞬だけ映り、前後篇にわたって続いた「ネビュラロマンス」の物語は幕を閉じた。
リミックスメドレーで4万5000人の思いが1つに
物語の完結を称える拍手が会場を包むが、しかしライブはまだ終わらない。スクリーンに「ARE YOU READY TO DANCE?」「REMIXED BY YASUTAKA NAKATA」という文字が映し出され、「ポリリズム」のリミックスバージョンが流れ始めた。背後のスクリーンには、過去に蓄積された膨大な「ポリリズム」のパフォーマンス映像が次々に流れ、物語を表現してきたここまでのステージとは雰囲気が一変。さらにアリーナに向けて金テープが発射され、東京ドームは祝祭空間へと姿を変えた。コールドスリープ前最後のライブとはいえ、しんみりとした空気など微塵も感じさせない。
さらに「Butterfly」「edge」もノンストップでミックス。初期の曲だからこそ、そのパフォーマンスはPerfumeが今なお進化の途中にあることを印象付ける。そして「チョコレイト・ディスコ」で会場の盛り上がりは最高潮に。悔いを残さずこの日を楽しみ尽くそうという4万5000人の思いが1つになった、割れんばかりの「ディスコ!」という叫びが巨大なドームを揺らした。
Perfumeのライブには欠かせない、リズムに合わせてみんなで踊って声を出す「『P.T.A.』のコーナー」へも、流れを止めずにノンストップで突入。おなじみの「男子!」「女子!」「そうでない人!」を、あ~ちゃんが矢継ぎ早に呼びかけていく。この日に観客と一緒に踊ったのは、秋にちなんだ「かぼちゃ」「すすき」「栗拾い」の形態模写ダンス。2014年から秋のライブでたびたび行われてきたこのダンスで、最終的にメンバー同士がイガグリを投げ合う展開になった。
「『P.T.A.』のコーナー」をはさんでもリミックスメドレーはまだ終わらない。「NIGHT FLIGHT」で興奮の渦になった客席に向けて、あ~ちゃんが「手を上に挙げてください! いくよ! せーの!」と呼びかけた瞬間、4万5000人が一斉に手のひらを掲げ、「MY COLOR」がスタート。広い東京ドームが一体感に包まれた。もうライブが終わりに近付いているにもかかわらず、メンバーは名残惜しさも見せずにすがすがしい笑顔で、そこには悲壮感など皆無だった。
さらに「MY COLOR」の曲中で、3人はマッシュアップするように「Baby cruising Love」と「リニアモーターガール」の振付をサプライズで披露。トラックだけでなくダンスにおいても、この日限りの特別なリミックスが繰り広げられた。

「コールドスリープを最初に言い出してくれたのは周りの方たち」
「MY COLOR」が終わり、客席に向けて深々と頭を下げた3人は、最後の挨拶を始めた。「こんなにも東京ドームで緊張せずに楽しめるライブができる日が来るなんて。初めての東京ドームが後悔ばっかりだった私に、大丈夫だよって言ってあげたいです」と、かつての自分を振り返ったかしゆか。彼女は続けてコールドスリープ後について「私たち3人はいつも手を取り合って。前を向いて必ず新しい道を選んできました。今回のこの決断も私たちにとって新しい道への挑戦です。会えない時間に寂しい思いをさせてしまうかもしれないけど、一緒に紡いできたこの歴史は消えません。そして、音楽が私たちをつないでくれると思います」と観客に伝え、「だから、寂しくなったらいっぱい聴いてくれていいんだよ?(笑)」といたずらっぽく微笑んだ。
続いてのっちは「ちょっと疲れたとか、休みたいとか、1人になりたいみたいなことがまったくない中で、この選択ができるっていう軽やかさ。コールドスリープすることも1つの挑戦だと思っております。本当に挑戦が大好きなグループなんですね(笑)」と、今回の決断が決してネガティブなものではないことを説明。そしてファンに対し「でも、そんな選択を取れたのも本当に皆さんのおかげです。コロナ禍に、どうやったらみんなに楽しんでもらえるか、寂しい気持ちにならないかを考えながらライブを作った期間が、みんなのことを大事に思わせてくれて。その期間に絆が深まったと思っています」と深い感謝を口にした。
最後にあ~ちゃんが語ったのは「自分たちが思い描いていた夢はとうに叶っていて、リアルに夢を叶えたいと思っていたのは最初の東京ドームまででした」という回想だった。かつて「ミュージックステーション」の特番の控室で、3人で心を決めて事務所のスタッフに「ドームでやりたい」と直談判したというPerfume。「今思えば、あのときよくそんなこと言いだしたなと思う」という彼女だが、そこからPerfumeは4回も東京ドームのステージに立つことになった。
コールドスリープ発表後に多くの人々からの温かい反応に触れたことを振り返りつつ、あ~ちゃんは「みんながそれぞれの人生を、幸せを願ってくれました。まさか、そんなふうに思ってもらえる日が来るなんて。なんていい人たちなんだろう。自分のやりたいこと、観たいものよりも、相手の幸せを願えるなんて、本当に素敵な関係だと思います」とファンとの絆を確認。そして、コールドスリープの決断に至った経緯を初めて明かした。
「最終的な決断は私たちがしたんですけれど、最初に言い出してくれたのは周りの方たちで。たくさんのアドバイスをいただいて決心しました。もっと商売したい人もいるかもしれないのに、それよりも私たちの人生を優先して幸せを願ってくれる人が近くにいてくれて、私たちはビックリして涙涙でした。『そんな選択をしていいんだ!』って驚いたけど、振り切って決断したわけではありません。この人たちを信じてみよう、そしてまた会う日を最高の日にするために、いい毎日を送ろう、と決心しました」
「GISHIKI」逆バージョンで、3人はそれぞれ別の道へ
最後に3人は、指でハートを作りながら、隣にいるメンバーを向いて「大好きだよ」と互いにつぶやき合った。そして、4万5000人の観客に向き直って声を揃える。「それでは、Perfumeでした! ありがとうございました!」。深々とお辞儀をした3人が顔を上げると、一点の曇りもない晴れやかな笑顔だった。
3人がステージを去ると、一瞬の暗転後、場内に「願い」が流れ始める。スクリーンに映し出されたのは、メジャーデビュー後のPerfumeの軌跡。DVD「Fan Service [bitter]」のメイキングに収録されていたスタジオでのオフショットに始まり、インストアライブ、初の東京・LIQUIDROOMワンマン、アルバム「GAME」でのチャート1位獲得、初の日本武道館公演など、これまでの長い歴史を刻んだ数々の記録映像が、走馬灯のように駆け巡っていく。
映像が終わると、白いふわふわとしたドレスをまとった3人が、センターステージに再び姿を現した。オーディエンスの手拍子に包まれながら彼女たちが披露したのは「巡ループ」。その思い出のすべてを大切にしまうように、曲の終わりで3人は、そっと本を閉じる振りを踊った。

そして3人は白い長いベールを両手で引きながら、それぞれ別の花道の先端に向かって、「25」からカウントダウンする声に合わせて1歩1歩進んでいく。これは2010年の東京ドーム公演のオープニング「GISHIKI」の逆バージョン。2010年のライブでは、自らをPerfumeに捧げるために3つの花道から中央に集まって1つになった彼女たちが、これからそれぞれが別の道を歩き始めることを示唆するように、今度は中心から3方向へ1人で帰って行く。
このとき花道の先端では、いくつもの小さなボールが浮かび上がり、徐々に3人それぞれのシルエットを形作っていく。このシルエットは昨年開催された展覧会「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」で展示されていたインスタレーション「We are Perfume」だ。カウントがゼロになると同時に3人は、無数の粒で構成された自分自身の像を前に、静かに胸に手を当てカーテシーをし、そのままゆっくりと床下へと姿を消した。

東京ドーム公演のセットリストは、ほとんどがライブ初披露の「後篇」からの新曲と、特別に用意されたリミックスばかり。コールドスリープ前の最後のライブだったにもかかわらず、キャリアを総括するベスト盤的な選曲とは程遠い、攻めに攻めた内容だった。終演後のスクリーンに映し出されたのは、次のライブでの再会を約束する「SEE YOU AT THE NEXT STAGE」という文字。いつかコールドスリープから目覚めるPerfumeに期待せざるを得ない、最新のPerfumeが最高のPerfumeであることを改めて確認させられる一夜となった。
なお、Apple Music、Spotify、LINE MUSICではこの東京ドーム公演のセットリストからなるプレイリストを公開中。またStationheadでは9月27日20:00より、このセットリストのリスニングパーティが開催される。詳しくはユニバーサルミュージックのPerfume公式ページを確認しよう。
セットリスト
「Perfume ZO/Z5 Anniversary “ネビュラロマンス” Episode TOKYO DOME」2025年9月22日・23日 東京ドーム
01. GAME
02. 再生
03. Cipher
04. 再起動世界
05. ネビュラロマンス
06. エレクトロ・ワールド
07. ソーラ・ウィンド
08. Virtual Fantasy
09. FUSION
10. Perfumeの掟 2025
11. Flow
12. Teenage Dreams
13. Human Factory - 電造人間 -
14. Moon
15. exit
16. Perfume ZO/Z5 Reeeeemix
・ポリリズム
・Butterfly
・edge
・チョコレイト・ディスコ
・「P.T.A.」のコーナー
・NIGHT FLIGHT
・MY COLOR
17. 巡ループ
18. GISHIKI
提供元:音楽ナタリー