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アジアのアーティストが集結するMAJスペシャルライブ「Shibuya Sound Scramble 2026」レポート|板歯目、ジ・エンプティ、WinningShot、四星球、かりゆし58が競演したTOKYO CALLING Stage

国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」の関連イベントとして、6月11日に「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE-Shibuya Sound Scramble 2026-」が開催された。「MUSIC AWARDS JAPAN」が掲げる「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」というコンセプトにもとづき、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE、Spotify O-WEST、Spotify O-nestの3会場にアジアのアーティストが集結。Spotify O-WEST の「TOKYO CALLING Stage」では、さまざまな土地 / 国にルーツを持つ個性派ロックバンドたちの競演が実現した。

前川真悟(Vo, B / かりゆし58)

板歯目

トップバッターを務めるのは、東京発2ピースロックバンドの板歯目。千乂詞音(Vo, G)と庵原大和(Dr)にサポートベースを加えた構成でステージに現れると、「スランプメーカー」からソリッドなバンドサウンドを解き放つ。ギターをかき鳴らしながら噛みつくように歌う千乂の声も、庵原のタイトに暴れ回るドラムも、衝動的なエネルギーに満ちている。「オルゴール」の間奏でセッションのように音をぶつけ合うなど、今この瞬間に生まれるグルーヴを楽しんでいる様子だ。飾らない剥き出しのロックサウンドがライブハウスを揺らし、オーディエンスを巻き込んでいった。

千乂詞音(Vo, G / 板歯目)

6月26日に同じくSpotify O-WESTで行うワンマンライブの告知をしたあと、「しゃべるのは苦手なので……ライブをがんばります」と千乂。その言葉通り、サウンドに宿る熱はどんどん上昇していく。板歯目は赤裸々なリリックを畳みかける「地獄と地獄」から、歪ませたギターに乗せて「めんどくせえ!」と叫ぶハーコアナンバー「親切」でライブを締めくくり、灼熱の空気を残してステージをあとにした。

板歯目

 

ジ・エンプティ

続いては、福岡県久留米発のジ・エンプティが登場。セッティング中にハルモトヒナ(Vo)が「初めましての人とグータッチ!」とフロア内を回り、笑顔を見せる。さらに、「時間がありそうなので……」と新曲「渚にキッス」のワンフレーズを披露するサプライズも。「グータッチしたら友達と呼んでます!」と心の距離をしっかり縮めてからライブに突入した。

ハルモトヒナ(Vo / ジ・エンプティ)

彼らはライブ本編でも人懐っこさ全開。メロディックパンクアレンジでカバーした松田聖子の「赤いスイートピー」を皮切りに、まっすぐなメッセージを乗せて突っ走る「覚醒少女」、まぶしい青春を描いた春ソング「桜ハナビラ」とキャッチーな楽曲を前のめりに届けていく。

ステージの端から端まで飛び回るハルモトを中心に、ギターソロで魅せるトクナガシンノスケ(G)や、クガケンノスケ(B)とカワカミタイキ(Dr)の盤石なリズム隊の存在感も光る。ラストはポジティブなパワーで包み込む「笑っておくれよ」を投下し、ライブハウスシーンの最前線に立つバンドとしての実力を見せつけた。

ジ・エンプティ

WinningShot

3番手は、韓国から来日したWinningShot。日本でのツアーを行うほか、昨年FOUR GET ME A NOTSとのスプリットEP「Blending Horizons」を発表するなど、海を越えて活動の場を広げている3ピースバンドだ。

3人はやや緊張した面持ちでスタンバイしつつ、疾走感あふれるパンクチューン「Far away」で勢いよくライブを開始。アグレッシブなサウンドの中で、クォン・ギファン(Vo, G)とヨ・ウォン(Vo, B)によるツインボーカルの美しいハーモニーが響く。90年代のポップパンクを彷彿させるキャッチーさは、日本のオーディエンスにも即効性を持って刺さったようだ。3曲目にスプリットEP「Blending Horizons」の収録曲「A tiny war on my board」が披露された頃には、ステージにもフロアにも笑顔が広がっていた。

WinningShot

未発表の新曲「Here And Now」や、さわやかなメロディがきらめく「Summer night breeze」など、ポップな楽曲でフロアを盛り上げ、ラストの曲を前に「皆さんのおかげで特別な時間になりました。これからも音楽を通して皆さんとつながっていけるように願っています」と伝えたヨ・ウォン。感謝と愛情を込め、最後にエモーショナルなナンバー「Nostalgia」を贈った。

ヨ・ウォン(Vo, B / WinningShot)

四星球

後半戦に入ったイベントをさらに加速させたのが、徳島発“日本一泣けるコミックバンド”こと四星球だ。おなじみの法被&ブリーフ姿の北島康雄(Vo)がマイクを持ち、イベントへの意気込みを語りながら国際的なラインナップに言及。彼が「というわけで、今日は世界的に人気の日本のキャラクターがお出迎えしてくれております!」と声をかけ、まさやん(G)がちいかわ風、U太(B)がおぱんちゅうさぎ風、モリス(Dr)が「スラムダンク」の安西先生風の扮装で現れるというオープニングで早くも会場を爆笑の渦に巻き込んだ。

四星球

そこからバンドは「UMA WITH A MISSION」で声援を求めたり、大黒摩季の名曲「ら・ら・ら」の一節を大合唱したりとノンストップで“四星球劇場”を展開。「クラーク博士と僕」では北島とまさやんがフロアに飛び込んで大暴れし、会場に集まった全員で笑いの絶えないエンタテインメントを繰り広げた。

思いっきり笑わせると同時に、その奥に秘めた情熱と哀愁に衝き動かされるのが四星球の魅力。まだ作っている最中だという未発表曲「キンコンカンコン」や、「死にたくなったらこの歌を 思い出してほしいんだ」と歌う「薬草」と、不器用な優しさを刻んだロックナンバーで観客の心をがっちりつかんだ。

四星球

かりゆし58

熱演のバトンを引き継ぎ、沖縄発の4人組・かりゆし58が登場。今年2月にデビュー20周年を迎えた彼らが堂々トリを飾った。「今日は国籍を越えて、海を越えて、音楽が交わってます。音楽の同志たち、あなたのおかげで今日もバンドマンは生きてます。家族だと思ってやらせてもらいます」と前川真悟(Vo, B)が挨拶し、代表曲「アンマー」へ。沖縄民謡とレゲエをかけ合わせた温かいサウンドと優しい歌声が誰しもの郷愁をかき立てる。心も体も踊らせる音が響き、ライブハウスが心地よい南国の風に包まれた。

カントリー調のリズムで跳ねる「アイアムを」ではコール&レスポンスを楽しみ、デビュー20周年を記念した最新曲「愛を編む」では優しい温もりに浸るかりゆし58。20年以上年月を重ねて熟成されたグルーヴから、愛を歌い続けてきた彼らの歩みが伝わってきた。

ラストに披露されたのは、イベントを締めくくるにふさわしい「オワリはじまり」。前川が歌う「もうすぐ今日が終わる」「かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい」という問いかけに、オーディエンスはきっと深く頷いたことだろう。いつまでも色褪せない不朽のメロディをともに歌い、ピースフルな空気に満たされて「TOKYO CALLING Stage」は幕を下ろした。

かりゆし58

取材・文 / 後藤寛子 撮影 / 小野秀梧