SUPER BEAVERが結成22年目でたどり着いた、5万人の“人生”が集まる東京ドームの光景
SUPER BEAVERが8月1、2日に大阪・京セラドーム大阪、9月22、23日に東京・東京ドームでドームツアー「都会のラクダ DOME TOUR 2026」を開催した。この記事では22日に行われた東京ドーム公演の模様をレポートする。
結成22年目で立った東京ドームの舞台
今年結成22年目を迎えたSUPER BEAVER。彼らが歩んできた道は決して平坦なものではなかった。2005年に結成されたSUPER BEAVERは2009年にメジャーデビューしたものの、メジャーでの活動は約2年間で終了。悔しさを胸にインディーズで試行錯誤しながらも実直に活動を続け、2018年には結成13年にして初の日本武道館公演を行った。その後、結成15周年を迎えた2020年にバンドはSony Music Recordsと“メジャー再契約”。数々のドラマや映画、CMに楽曲を提供して日本中に音楽を鳴り響かせていく。ライブハウスでの活動を常に大切にしながら、2025年には千葉・ZOZOマリンスタジアム公演2DAYSで約6万人を動員するなど、大規模会場でのライブを次々と成功させ、日本のロックシーンの第一線を走るバンドとなった。そして結成22年目にして、彼らはついに初のドームのステージへ。ドームツアーのチケットは全公演ソールドアウトし、満員のオーディエンスが会場を埋め尽くした。
割れんばかりのハンドクラップと歓声に迎えられた4人がドームライブの1曲目に演奏したのは「生きがい」。結成22年目にして東京ドームのステージにたどり着いた、今この瞬間の喜びをオーディエンスとともに分かち合うように、「お待たせ 信じてくれた人よ」というフレーズが晴れやかに東京ドームに響き渡った。「ライブハウスから来ました。SUPER BEAVERです」と渋谷龍太(Vo)がいつもの挨拶を言葉にし、「ひたむき」を歌い始める。一歩一歩、着実に前に向かって歩いてきたSUPER BEAVERの道のりと志そのものとも言えるこの曲がフルスロットルで届けられると、彼らの熱量に負けず劣らずオーディエンスの熱のこもった大合唱が沸き起こった。
炎が吹き上がるステージで強い信念と誇りが見えるナンバー「燦然」をプレイした4人。演奏が終わると渋谷は降り注ぐ歓声をじっくりと受け取り、「何を隠そう、初の東京ドームです! 『おかげさま』、このひと言に尽きます。序盤で感慨深くなりすぎるつもりはないけども、自分たちの歴史を鑑みると、22年目にして初めて東京ドームの舞台を踏むというのは、あまり類を見ないんじゃないかなと思っています」とドームの景色を見渡した。「愛すべきあなたのお手を拝借。この規模だと絶対にぐちゃぐちゃになるのは知ってる。でも、そんなこと気にすんなよ。やりたいようにやってくれ」と渋谷が告げ、オーディエンスのハンドクラップから始まる「美しい日」へ。心をひとつにした5万人の生き生きとした手拍子がドームに鳴り響くと、渋谷はスタンドマイクを持って花道を歩いてセンターステージへと向かい、客席から降り注ぐ音を全身で浴びた。「もっとライブハウスにしてもいいですか?」という渋谷の言葉を皮切りに、彼らは「突破口」「らしさ」といったナンバーでオーディエンスの心を昂らせ、場内にすさまじいエネルギーを巻き起こしていく。そしてストリングスグループの“美央ストリングス”を加え、弾むようなビートとともに「主人公」を軽快に届けた。
東京ドームで言葉にした「人数じゃねえから!」
これまでも「ライブにおいて大事なのは、人数の多さではない」ということを一貫して言い続け、どのような規模の会場でも常にオーディエンスとの“1対1”の関係性を大切にしてきたSUPER BEAVER。渋谷は「『人数じゃないんだよ』って、ライブハウスの頃からずっと言ってきた。ただ、人数を知らない人間がそれを言ったところで、何の説得力もないのはわかってた。『今俺が言ったこの言葉、負け惜しみに捉えられたんだな』と思うことが何度もあった」と振り返った。「それでも、じっくり目を見て、しっかりと1対1の対話をして、“あなたたち”ではなく、“あなた”と音楽がしたいってそれだけをずっと愚直に伝え続けた結果、今日ここにおよそ5万の人生が集まっている。こんなにシビれることはないと思っている」と、1対1のスタンスを貫いてきた先にこの日の景色があることを渋谷は語る。そして彼は「俺はあなたがいる未来にこうやって立つことができて、本当にうれしいです。だから改めて、この場所で言う。人数じゃねえから! お前がいればそれでいいんだよ!」と言い切り、「少しは説得力ありました?」とほほえんでみせた。
ストリングスの壮大な音色に乗せて、「人として」や「ひとこと」といったバラードナンバーをじっくりと力を込めて届けた4人。ここまでのステージを経て、柳沢亮太(G)は「拍手も歌声も歓声も、今まで味わったことのないようなエネルギーで、頭から最高の気分です!」と声を弾ませ、「さっきぶーやんも言ってましたけど、20年かけて東京ドームに立つって、逆になかなかないんじゃないかって自分たちでも思います。振り返ったときに、20代前半で一度メジャーデビューして、そこから落っこちて、10年くらい自分たちでコツコツやってきて。『もうダメかもしれないな。音楽で生きていくのは簡単じゃないな』って思うような瞬間が何度もありました。そういうのを1つひとつ乗り越えて、行き着いた日が今日みたいな日だなんて。やめなくてよかったなって! やめさせないでくれて、ありがとうございます」とまっすぐに伝えた。
上杉研太(B)は「10代のときの自分たちに『君はアラフォーになった頃に東京ドームに立ってるよ』って言ったら、『えっ』と思うだろう。20年以上やってきた結果。1つ、素晴らしい形でちゃんと到達したなと思っています。ここにいる1人ひとりと、メンバーで。誇らしいです」としみじみと語ったうえで、「今決めちゃったんですけど、来年ライブハウスに行こうよ! Zeppとかじゃなくて、うるせえライブハウスのおやじがいるようなさ!」と切り出す。すでに発表されているアリーナツアーをはじめ、来年の予定もいろいろと決まっているであろう中、リーダー上杉の突然の決断に渋谷は「なんか決まった!」と笑いながら崩れ落ちるも、「ステージの上で嘘をつかないのが俺たちのモットーだからね。言ったもん勝ちみたいなところがあるんですけど。じゃあ、行きまーす」と宣言して場内を大きく沸かせた。藤原“38才”広明(Dr)は立ち上がると「東京ドームに俺は立ってるよ!」と声高らかに叫び、「僕はドラマーなので、伝えたいことはちゃんと楽器で伝えるからね!」と満面の笑みを浮かべた。
ライブ後半を迎え、彼らは今年生まれた新たなアンセム「クライマックス」やバンド初期の15年前に作られたナンバー「歓びの明日に」で、ライブハウスさながらの濃密な熱気をドームに生み出していく。「青い春」では「任せていい?」と渋谷が客席にマイクを向け、轟くような大合唱に「いいんじゃない?」とにっこりとご満悦。再びストリングスを加えた「名前を呼ぶよ」でもドームに響き渡るシンガロングの勢いはどんどん増していった。渋谷は「俺たちは散々あなたに助けられてここまできた。返せるところでしっかり返す。特にあなたが日々生きてる中で、つらくなって『やめてしまいたいな』と思ったときに、一番近くで鳴ってる音楽でいたいなと思うよ。そのために、すべてを懸けて音楽をやる。その覚悟が俺たちにはある」と宣言し、「でかい音楽をやろうぜ、これからも。俺たちならできるって、今日そんなふうに思ったんだよ」と呼びかけた。
「あなたにはSUPER BEAVERがついてる。忘れないでね」と渋谷が告げ、歌い始めたのは「告白」。“君”とともに人生を歩いていく思いを歌い、「アイラヴユー」ではすさまじい熱量で大きな愛をオーディエンスとぶつけ合った。「東京流星群」では渋谷、柳沢、上杉がセンターステージへ。金テープが星のようにキラキラと降り注ぎ、エモーショナルな演奏を彩った。ラストスパートを駆け抜けるように炎が燃え盛るステージで「切望」をプレイしたあと、彼らが届けたのは「最前線」。最後までオーディエンスの1人ひとりと心を通わせ、晴れやかな表情で4人は初の東京ドーム公演に幕を下ろした。
セットリスト
SUPER BEAVER「都会のラクダ DOME TOUR 2026」2026年9月22日 東京ドーム
01. 生きがい
02. ひたむき
03. 燦然
04. 美しい日
05. 突破口
06. らしさ
07. 主人公
08. 人として
09. ひとこと
10. クライマックス
11. 歓びの明日に
12. 青い春
13. 名前を呼ぶよ
14. 告白
15. アイラヴユー
16. 東京流星群
17. 切望
18. 最前線
提供元:音楽ナタリー