INTERVIEWS

NEW

インドネシアの音楽シーンで絶大な人気を誇るHindia|「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE-Shibuya Sound Scramble 2026-」出演アーティストインタビュー

国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」の関連イベントとして、6月11日に「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE-Shibuya Sound Scramble 2026-」が開催された。「MUSIC AWARDS JAPAN」が掲げる「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」というコンセプトにもとづき、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE、Spotify O-WEST、Spotify O-nestの3会場にグローバルに活躍するアジアのアーティストが集結。世代やジャンルを超えて熱演を繰り広げた。

この記事では渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された「SONG BRIDGE Stage」の出演アーティストより、インドネシアのシンガーソングライター兼プロデューサー、バスカラ・プトラによるソロプロジェクトで、「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」にて「Indonesian Popular Music特別賞」を受賞したHindiaにインタビュー。インドネシアの音楽シーンで絶大な人気を誇る彼に、ライブ前に話を聞いた。

──本日はお時間をいただきありがとうございます。まず最初の質問ですが、今夜のパフォーマンスについてどのようなお気持ちですか?

 

もちろん、とても楽しみにしています。昔から日本が大好きなんです。今回の来日は2回目ですが、ライブをするのはひさしぶりです。2年前にも日本で何度か公演を行いましたが、今回またこうして戻ってきてパフォーマンスできることがとてもうれしいです。今回のようなイベント全体に参加できることも本当に光栄ですね。

 

──これまで日本でライブをされたことがあるとのことですが、日本の観客とインドネシアの観客にはどのような違いがありますか?

 

2年前に日本でライブをしたとき、600人くらいお客さんが来てくれました。その中で実際にHindiaの楽曲を知っていた人はおそらく100人くらいだったものの、友人から勧められたり、なんとなく興味を持って来てくれた人たちもたくさんいたんです。インドネシアとの大きな違いだと思います。インドネシアでは、ライブのチケットを買う人の多くが、出演するアーティストやバンドのファンや、共演者のファンなんです。きっとどこの国でも当てはまると思いますが、日本でのあのライブは、Hindiaのことをほとんど知らない人たちの前で演奏した初めての経験でした。「どんな音楽なんだろう」って興味を持って会場に来てくれたんです。日本のお客さんは本当にあらゆるものに対して敬意を持って接してくれると感じています。また、観客とイベントを運営する人との間にも強い信頼関係があるように思います。イベントそのものや作品の価値を信じていれば、出演者を知らなくても足を運んでくれるんです。

 

──次はあなたの音楽とルーツについてお聞きします。文化的背景や生い立ちは、あなたの音楽にどのような影響を与えていますか?

 

どれだけ隠そうとしても、自分のルーツや文化的・社会的背景は、作る作品の中に必ず表れると思っています。アートとはその人の魂の延長線上にあるものだと考えています。作品は、その人自身を映し出すものなんです。私自身、インドネシア人としての背景や、都市の郊外で育った経験、イスラム教徒が多数を占める国でカトリックとして育ったこと、そして東インドネシアと日本のルーツを持つことなど、さまざまな要素が人生を通じて私に影響を与えてきました。

 

──つまり、あなたのルーツは音楽においてとても重要な要素なのですね。

 

はい、その通りです。

 

──あなたに影響を与えた音楽やアーティストについて教えてください。

 

本当にいろいろな音楽を聴いています。常に新しい音楽に対してオープンでいたいと思っていますし、最近はSlayyyterなどをよく聴いています。ただ、人生を通して最も大きな影響を受けた存在の1人は、やはりケンドリック・ラマーです。特にソングライティングの面で大きな影響を受けています。子どもの頃は兄の影響でオルタナティブロックをたくさん聴いて育ちました。そのあと、中学生の頃には、兄の影響でMy Chemical Romanceのようなスクリーモやエモ系の音楽に夢中になりました。さらに2011年から2017年頃にかけて、インドネシアではヒップホップの大きなブームが起こり、そのシーンのアーティストたちからも多くの影響を受けました。さまざまな音楽を聴いていて、多くのアーティストからインスピレーションをもらっています。音楽の好みも毎年少しずつ変化していますね。

──インドネシアの音楽シーンについて、もっと世界に知られるべきだと思う点はありますか?

 

海外の人がインドネシアと聞くと、まず伝統音楽を思い浮かべることが多いと思います。私たちの国ではオルタナティブ音楽や現代音楽を文化輸出として海外に発信するための政府支援が十分ではないので、ある意味真っ当な感覚だと思いますが、インドネシアにはアジアでも屈指の活気ある音楽シーンがあります。僕の海外の友人たちもよくそう言ってくれます。インドネシアの音楽の魅力を1つに絞るのは難しいですね。本当にあらゆるジャンルが存在するので。現代的なトラップの影響を受けたヒップホップもあれば、伝統音楽や民族音楽に根差した作品もあります。例えばALIというバンドはここ数年、世界各地をツアーしています。多様なサウンドとサブカルチャーが共存しているのが、インドネシア音楽シーンの大きな魅力だと思います。

 

──海外で活動する中で、最も印象に残っている経験は何ですか?

 

以前タイで出会った人のことが印象に残っています。最初は彼女がインドネシア人だと思っていたのですが、実は台北出身の方でした。大学の課題をしていたある夜にたまたまHindiaを見つけ、それ以来Hindiaや私のほかのプロジェクトの曲を聴き続けてくれていたそうです。しかも、彼女はインドネシアから台湾へ僕たちのグッズを取り寄せていました。どうやったのか今でもわかりません(笑)。自分とまったく違う人生を歩み、文化的背景も共有していない誰かが、自分の音楽を聴いて、その背景にある文化を理解しようとしてくれる。本当に不思議で、同時にとても心温まることです。当時はまだ台湾にもタイにも行ったことがなかったので、そのような体験ができたことは信じられないほど特別でした。多くの人が夢見るような人生を送らせてもらっていると思いますし、それはすべてリスナーのおかげです。母国以外の小さな会場でも、言葉が通じない人たちと同じような感情のつながりを作れることに、いつも感謝しています。

 

──最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

 

もしこれまで私たちの音楽を聴いてくれていたなら、本当にありがとうございます。2年前のライブをきっかけに知ってくれた方もいるかもしれません。そして、今回初めて私たちを知った方も多いと思います。改めて、こんにちは。私はHindiaです。これから音楽を通じて皆さんと友達になり、一緒にさまざまな経験を共有していけたらうれしいです。