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2020年代を象徴するヒットソングを生み出したMrs. GREEN APPLE|「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」主要部門ノミネートアーティストを解説

音楽業界の主要5団体が垣根を越えて設立した、一般社団法⼈カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)による国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」(MAJ)。この新たな音楽アワードの記念すべき第1回の授賞式が、いよいよ5月21日と22日に京都・ロームシアター京都で行われる。

先日一挙に発表された「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」のノミネート作品 / アーティスト。MAJの公式メディアOTOMOでは授賞式の開催に向け、主要部門のうち最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞、最優秀アルバム賞にノミネートされたアーティストや作品をピックアップし、その特長を紹介していく。この記事では最優秀楽曲賞(「ライラック」)、最優秀アーティスト賞、最優秀アルバム賞(「ANTENNA」)に名を連ねたMrs. GREEN APPLEをフィーチャーする。

文 / 森朋之


2022年春に「ニュー・マイ・ノーマル」をリリースするとともに、“フェーズ2”を開幕させたMrs. GREEN APPLE。その後「ダンスホール」「ケセラセラ」「ライラック」といったヒット曲を次々と放ち、瞬く間にJ-POPシーンのトップへと駆け上がったことは周知の通り。J-POPの歴史が “ミセス時代”に突入したと言っても過言ではないほどに驚異的な活躍を続けている。

そんなMrs. GREEN APPLEの最初の音楽的達成と称すべき作品が、2023年7月発表のアルバム「ANTENNA」だ。“生”そのものをテーマにしたバラード「Soranji」、“なるようになる”というメッセージを高らかに響かせる「ケセラセラ」、ワールドミュージックのテイストを取り入れた「Magic」といったシングル曲、映画「ONE PIECE FILM RED」に提供した劇中歌のセルフカバー「私は最強」などを収めた本作は、エンタメ性と芸術性をバランスよく兼ね備えた充実作。色彩豊かなポップ感覚、人間の本質に迫るメッセージ性を宿した歌詞、卓越した技術に裏打ちされたサウンド / ボーカルを含め、このバンドの音楽的スタイルが確立された記念碑的アルバムだと言っていい。

そして数多いヒット曲や代表曲の中で、最も世に知られた曲を挙げるとすると、やはり「ライラック」だろう。テレビアニメ「忘却バッテリー」のオープニングテーマに使用されたこの曲は、テクニカルなギターフレーズで始まり、生々しい臨場感にあふれたサウンドが鳴り響くアッパーチューン。壮大なオーケストラや幅広いジャンルの音楽を取り入れた楽曲も彼らの特徴だが、「ライラック」では研ぎ澄まされたバンドサウンドに回帰し、ロックバンドとしての存在感を改めて示した。「答えがない事ばかり / だからこそ愛そうとも」というフレーズも印象的なこの曲は、ストリーミング累積再生数5億回を突破。ミセスの代表曲という枠を超え、2020年代を象徴するヒットソングとして認知されている。

このほか、新曲「クスシキ」(テレビアニメ「薬屋のひとりごと」第2期 第2クール オープニングテーマ)がオリコン週間ストリーミングランキングで3週連続1位を獲得し、7月にはデビュー10周年を記念した野外ライブの開催を控えるなど(山下ふ頭にて2日間で10万人動員予定)、その勢いをさらに加速させているMrs. GREEN APPLE。「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の「最優秀アーティスト賞」へのノミネートも当然だろう。