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ジャンルを超越した音楽センスでグローバルな人気を確立した藤井 風|「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」主要部門ノミネートアーティストを解説

音楽業界の主要5団体が垣根を越えて設立した、一般社団法⼈カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)による国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」(MAJ)。この新たな音楽アワードの記念すべき第1回の授賞式が、いよいよ5月21日と22日に京都・ロームシアター京都で行われる。

先日一挙に発表された「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」のノミネート作品 / アーティスト。MAJの公式メディアOTOMOでは授賞式の開催に向け、主要部門のうち最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞、最優秀アルバム賞にノミネートされたアーティストや作品をピックアップし、その特長を紹介していく。この記事では最優秀楽曲賞(「満ちてゆく」)、最優秀アーティスト賞、最優秀アルバム賞(「LOVE ALL SERVE ALL」)に名を連ねた藤井 風をフィーチャーする。

文 / 岸野恵加

 

唯一無二の存在感を放ち、グローバルに活躍の幅を広げ続ける藤井 風。彼は1997年、岡山県に生を受けた。父の影響で幼少期よりピアノに親しみ、12歳の頃、実家の喫茶店で撮影したピアノのカバー動画をYouTubeにアップし始める。当時から巧みな演奏技術はもちろん、自由自在のアレンジや、まるで音楽と一体になったような独自のグルーヴ感で注目を浴びていた。

2019年には活動の拠点を東京へ移し、2020年5月にリリースした1stアルバム「HELP EVER HURT NEVER」はBillboard Japan Hot Albumsで1位、オリコン週間アルバムチャートで2位を記録。ジャンルを超越した音楽センスと深みのある歌声、岡山弁と英語を行き来する独特の歌詞などが注目され、幅広い世代から愛される存在となっていく。また不定期に実施される「ねそべり配信」では、即興でさまざまな楽曲をラフに弾き語り。飾らない人間性もまた、彼の魅力の1つである。

2021年9月には日産スタジアムで無観客生中継ライブを開催。YouTubeの配信を約18万人が同時視聴した。そして2022年に楽曲「死ぬのがいいわ」が世界23カ国のチャートで1位を達成する快挙を達成し、以後はグローバルな人気を確立。2023年にアジアツアーをソールドアウトさせ、2024年はアメリカツアー、アジア10都市でのアリーナツアーを行ったほか、日本国内では日産スタジアムでの単独有観客ライブを成功に収めた。

「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の「最優秀楽曲賞」にノミネートされた「満ちてゆく」は、映画「四月になれば彼女は」のために書き下ろされたバラード。「手放すことで満ちてゆく」という死生観が込められたこの楽曲には、どんな人の人生にも寄り添ってくれるような優しさがある。2024年末の「NHK紅白歌合戦」ではこの楽曲がニューヨークの街中を舞台に一発撮りでパフォーマンスされ、映画のような世界観が話題を集めた。

一方、「最優秀アルバム賞」にノミネートされている「LOVE ALL SERVE ALL」は、2022年にリリースされた2ndアルバム。「全てを愛し、全てに仕えよ」というタイトルの通り、愛についてさまざまな角度で捉えた作品となっている。楽曲をリリースするたびに評価を高め続け、今や日本を代表するアーティストの1人となった藤井 風は、まさに「MUSIC AWARDS JAPAN」にふさわしい存在であろう。