時代を彩る名ポップスを生み出し続けるVaundy|「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」主要部門ノミネートアーティストを解説
音楽業界の主要5団体が垣根を越えて設立した、一般社団法⼈カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)による国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」(MAJ)。この新たな音楽アワードの記念すべき第1回の授賞式が、いよいよ5月21日と22日に京都・ロームシアター京都で行われている。
4月に一挙に発表された「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」のノミネート作品 / アーティスト。MAJの公式メディアOTOMOでは授賞式の開催に向け、主要部門のうち最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞、最優秀アルバム賞にノミネートされたアーティストや作品をピックアップし、その特長を紹介していく。この記事では最優秀アーティスト賞や最優秀アルバム賞(「replica」)に名を連ねたVaundyをフィーチャーする。
文 / 小松香里
「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」にて「最優秀アーティスト賞」「最優秀アルバム賞」に加え、「最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞」「最優秀国内ロックアーティスト賞」「最優秀国内シンガーソングライター賞」と数多くの部門にノミネートされたVaundy。「最優秀アルバム賞」では「replica」、「最優秀国内ロック楽曲賞」と「最優秀国内シンガーソングライター楽曲賞」では「怪獣の花唄」がノミネート作品に選出された。
Vaundyは2019年11月に楽曲「東京フラッシュ」を発表。VFX処理がされた東京の街の中を練り歩く、並行世界とリアルが混じり合った世界にも見える示唆的なミュージックビデオは瞬く間に拡散され、YouTubeで公開後2カ月で100万回再生を突破した。当時19歳の現役大学生。作詞・作曲・アレンジのみならず、アートワークや映像もセルフプロデュースするVaundyは一躍新世代を代表するアーティストとなった。
1stアルバム「strobo」にはネオソウル、ヒップホップ、ダンスミュージック、J-POPなど多様なジャンルが詰まっているが、特定のジャンルが際立つことなく並列に聞こえてくるプレイリスト的な作品に仕上がっているのはデジタルネイティブ世代ならでは。洗練された高いクオリティと時代性を備えたアルバムだ。本作に収録された「怪獣の花唄」は2014〜2017年頃のアニメソングや邦ロックを意識して制作され、「第73回NHK紅白歌合戦」で歌唱されたことで幅広い層に知られることとなった。
「怪獣の花唄」は2ndアルバム「replica」にも「怪獣の花唄 -replica-」として収録されている。「replica」は新曲を中心に15曲が収録されたDISC1と、既発曲をリリース順に並べた20曲が収録されたDISC2で構成された大作。「オリジナルはレプリカの来歴から生まれる」というVaundyの信念のもと制作された。ポップスの美学を追究する中で「よりいいレプリカ=ポップスを作るのが自分の仕事だ」と認識したVaundyによる革新的なポップスからは、時代の先を読み取る鋭い嗅覚が感じられる。そしてVaundyは「replica」以降も時代を彩る名ポップスを生み出し続けている。
自ら監督を務めた新曲「僕にはどうしてわかるんだろう」(テレビ朝日系木曜ドラマ「PJ ~航空救難団~」主題歌)のミュージックビデオは俳優の佐藤健が出演し、大きな話題に。2026年2月からは男性ソロアーティスト史上最年少での4大都市ドームツアーの開催も決まっている(6公演で約30万人動員予定)。リスナーの耳をとらえ、一聴して癖になる天性の声と、破格の才能を感じさせる、ジャンルに囚われない幅広い楽曲センスを持つVaundy。ストリーミング再生1億回を超える楽曲は計17を数え、令和の音楽シーンを牽引している。